「ネルフィナビルの副作用についての一考察」
はじめてネルフィナビル(以下NFV)を飲んだとき、のどにつかえ、また、そのこの世のものとは思えぬ化学的な味に対する嫌悪感から、私は薬を摂取する前にとった食事もろとも、吐き出してしまいました。投薬をはじめてからの最初の一週間は、薬を飲むときに、丼を用意しておき、吐く時は丼の中に吐いて、そのNFVの青い破片が混ざっている嘔吐物を、この物質がHIVと戦ってくれているんだと自分に言い聞かせながら、泣きながらスプーンですくって食べていました。しかしながら、人間の身体とは良くできているもので、いつのまにか苦労することなく摂取できるようになりました。副作用の方も、幸いなことに発疹があらわれることもなく、慢性的な下痢だけですんでいます。
私がNFVを選んだ理由は、神経系統に対する副作用が最も少ないと聞いたからです。私の職業は同行通訳で、必ずしも自分の得意ではない分野の話を、間をおかず他言語に置き換えるという作業を一日中しなければなりません。通訳をしているときに、ちょっとでも沈黙をしてしまうと、クライアントに不安を与えてしまい、仕事が来なくなります。ですから、なるべく脳・神経系統に作用を及ぼす薬は使いたくなかったのです。
さて下痢の方ですが、最初は「来たな」と感じたら、すぐにトイレに駆け込まないと、悲惨な結果が待っていましたが、投薬開始後3ヶ月位たった頃から、自分でコントロールできるようになって、下痢をお腹の中に留めて置いて、休憩時間にトイレに行けばすむようになりました。下痢止め薬のロペミンは、私には効かないみたいなので、やめてしまいました。また、パンツを持ち歩くのもやめました。下痢は薬の吸収には影響がないと聞いたので、特に気にすることなく、最近は下痢を副作用とは思わなくなってきました。
ただ、たまに形がある「うんこ」が懐かしくなるときがあります。そんなときは、「ゴボウ」を食べるようにしています。ゴボウを食べた翌朝は、見事なほどの立派な「うんこ」にお目にかかれます。ゴボウは、水溶性・不水溶性のどちらの繊維質も豊富で、下痢止めに効くようです。味噌汁に入れたり、野菜炒め・麻婆豆腐等に入れています。中華炒め物なら何でも合うみたいです。ゴボウのサラダもおいしいです。料理をする時間がない場合でも、できあいのものでも、サラダ・かき揚げ・きんぴら・ゴボウ入りコロッケ等、いろいろあるので試してみたらどうでしょう。本当は泥付きのゴボウがおいしいのですが、面倒なときは、ささがきゴボウやせんぎりゴボウのパックを買ってきて利用しています。朝食には、前の晩の残り物のゴボウ入りの汁物を温めて食べています。また、ブラン系のシリアルも下痢止めに効くようです。ただ、ブラン系はマズイので、コーンフレークと混ぜて食べています。牛乳をかけて電子レンジで2分程チンすると、おかゆのようになって食べやすくなります。
NFVのことを悪く言う人もたくさんいますが、他の薬の大きさや飲みにくさ、副作用について、知り合いの陽性者から聞いてみると、それほど悪者扱いにしなくてもいいのではないかと思うようになりました。陽性者の友達をつくって、NFVの悪口を言い合っていると、なんとなくNFVのことが「いいヤツかもしれない?」と思えるようになってきました。 |